生成AIは本当に怖い?違和感の正体を整理してみた
- ITワークラボ
- 1月13日
- 読了時間: 5分

生成AIが「怖い」と感じた経験、ありませんか?
最近、生成AIを使っていて、
「え、そんな情報どこから出てきたの?」
「本当に正しいの?」
と、少しゾッとした経験をした、という声を聞くことがあります。
便利で賢く見えるからこそ、
生成AIに騙されたと感じたり、何か意思を持っている存在のように感じたりしてしまう。
今日は、そんな不安が生まれる理由を、ITの実務視点で分解してみます。
生成AIは「調べる道具」ではありません
まず大前提として、生成AIと検索はまったく違います。
検索: すでに存在する情報を探して表示する
生成AI:入力された文章の流れから、次に来そうな言葉を予測しながら文章を作る
生成AIの中では、「その情報が正しいかどうか」ではなく、
「文章として自然につながるかどうか」が基準になっています。
大量の文章を学習した結果、
この言葉の次には、どんな言葉が来やすいか
この質問には、どんな構成の答えが「それっぽい」か
を確率的に選び続けて、文章を完成させています。
つまり生成AIは、何かを調べに行っているわけではなく、
知っていそうな口調で文章を組み立てているだけなのです。
そのため、質問の前提や条件がはっきりしていない場合、
AIはその曖昧さを埋める方向で、違和感の少ない答えを作ろうとします。
前提:事実かどうかも分からない
条件:年代・対象・範囲など具体的な条件がない
記憶:自分の記憶そのものが、正しいか分からない
こうした状態で質問すると、
AIはその曖昧さを埋めるように、「それっぽい答え」を生成します。
なぜ「正しい」と信じてしまうのか?
ここが一番重要なポイントです。
人は、情報をゼロから検証する前に、まず「それっぽさ」で判断してしまうことがあります。 たとえば、
自分の記憶に近い言葉が出てくる
聞いたことがある気がする表現が並ぶ
筋が通っていて納得できる
こうした条件がそろうと、
頭の中で 「正しそう」「思い出したかも」と感じやすくなります。
しかし実際には、
時間が経つ中で、細部が書き換わったり補われたりしている
印象の強かった要素だけが残り、前後関係が失われている
断片的な情報を、あとから一つの筋の通った話として再構成している
というケースも少なくありません。
生成AIは、これらの曖昧さを指摘せずに、文章として自然につながる形で補ってくれるため、「整っている=正しい」と錯覚しやすいのです。
言い換えると、生成AIは文章を「整える」のが得意なため、 整っている=検証済みのように感じてしまう、というわけです。
自分に都合のいい情報だけを集めてしまう仕組み
SNSを使っていると、
「最近、同じような意見ばかり目にするな」 と感じたことはないでしょうか。
これは、
自分が興味を示した投稿
いいねやシェアをした内容
に似た情報が、優先的に表示されるためです。
このように、 自分の考えに合う情報だけが集まりやすくなる現象を、
一般に「フィルターバブル」や「エコーチェンバー」と呼びます。
難しい言葉に聞こえますが、 要は見たい情報だけを見続けてしまう状態のことです。
生成AIでも、似たことが起きる場合があります
生成AIは、質問された内容をもとに、 文章として自然で整った答えを返そうとします。
その結果、
曖昧な質問
整理されていない考え
であっても、 AIがうまく言葉を整えて返してくれるため、
「自分の考えが裏付けられた」ように感じてしまうことがあります。
これは、生成AIの「文章を整える力」が、
利用者の前提や思い込みを、 そのまま強化してしまうためです。
問題はAIではなく、質問する側にある
ここで大切なのは、「生成AIが勝手に人を誘導しているわけではない」という点です。
多くの場合、
考えがまだ整理されていない
記憶が曖昧なまま質問している
前提が正しいか検証していない
こうした状態で投げた質問を、 AIがうまく整えて返しているだけです。
つまり、 生成AIによって起きている現象の多くは、
人間側の曖昧な思考や記憶が、 言葉として整理されただけとも言えます。
じゃあ、生成AIは危険なの?
答えはシンプルです。
生成AIそのものが危険なのではなく、 道具に「100%の正しさ」を求めてしまう姿勢が危険なのです。
私たちは、検索や表計算ソフトなど、さまざまなITツールを日常的に使っています。
それらの道具に対して、
必ず正しい答えが返ってくる
そのまま信じてよい
と、無条件で思っている人は多くありません。
一方で生成AIは、 文章が自然で、説明も分かりやすいため、
つい「全部正しい前提」で受け取ってしまいがちです。
しかし、生成AIもあくまで道具の一つです。
事実確認が必要な場面
判断の根拠が重要な場面
このような場面では、人が確認・検証する前提で使う必要があります。
事実確認 → 検索・一次情報
整理・要約・壁打ち → 生成AI
この役割分担を意識するだけで、 多くのトラブルは防げます。
ITワークラボからのひとこと
生成AIで本当に怖いのは、「AIが嘘をつくこと」ではありません。
曖昧な記憶や前提を、検証せずに信じてしまうことです。
だからこそ、
AIの答えを疑う
同時に、自分の前提も疑う
この両方が大切です。
完璧じゃなくて大丈夫。
正しい距離感で使えば、生成AIは心強いパートナーになります。
ITのことで「これ、どう考えればいい?」と迷ったら、
お気軽にITワークラボにご相談ください。
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