「うちは関係ない」と思っていませんか? いま、サイバー攻撃の“狙い目”は中小企業です。
- ITワークラボ
- 10月21日
- 読了時間: 5分

「うちは狙われない」という誤解
「うちは有名企業でもないし、機密情報なんて持っていないから大丈夫」そう考えている中小企業の経営者は少なくありません。
しかし、最近ニュースになっている大手メーカーへのサイバー攻撃をきっかけに、多くの中小企業が“他人事ではない”現実に直面しています。
実は、攻撃の多くは特定の企業を狙ったものではありません。攻撃者は、インターネット上に存在するあらゆるシステムを自動でスキャンし、「守りが弱い会社」から順に侵入していくのです。つまり、狙われるというより「見つかってしまう」時代です。
中小企業庁やIPA(情報処理推進機構)の調査でも、被害企業の約7割が中小企業というデータがあります。しかも、被害の内容は「業務停止」「顧客情報流出」「取引停止」など、会社の信頼を直撃するものばかり。
なぜ中小企業が狙われやすいのか?
サイバー犯罪者にとって、“中小企業は攻撃しやすい標的”です。その理由は単純で、「防御が弱い」から。
1. IT担当がいない、または兼務で後回しになっている
専任のセキュリティ担当者を置ける中小企業は多くありません。そのため、PCの更新やアクセス権の見直しなどが“誰の仕事でもない”まま放置されがちです。
2. 古いシステムやソフトを使い続けている
サポートが終了したOSや古い機器を使い続けることで、脆弱性を突かれるリスクが高まります。攻撃者は、そうした“古いまま”の環境を狙ってきます。
3. セキュリティルールが存在しない
パスワードの共有、退職者アカウントの放置、USBメモリの持ち出し――。
こうした“なんとなく運用”が積み重なることで、攻撃の入口が増えてしまいます。
中小企業が扱うのは機密データではなくても、
顧客名簿
請求書・見積書
取引先のログイン情報など、攻撃者にとっては十分価値のある情報が眠っています。
実際に起きた“連鎖被害”の例
最近話題になった「アスクル」のサイバー攻撃では、アスクル自身だけでなく、配送を委託していた無印良品・ロフト・そごう・西武などのネット販売にも影響が広がりました。
💬 参考映像(TBS news23 より)
この動画では、ランサムウェア攻撃によって物流が停止し、取引先まで被害が波及する“サプライチェーン攻撃”の実態が分かりやすく紹介されています。 特に 0分45秒〜1分30秒 あたりでは、「取引関係を通じて被害が拡大した」ケースが説明されています。中小企業が“大手を狙う攻撃の入口”にされる可能性を、まさに象徴する事例です。
「被害者」ではなく「踏み台」にされるリスク
近年の攻撃は、最初から大手企業を直接狙うケースばかりではありません。中小企業を“踏み台”にして、その先の取引先へ侵入する手口が増えています。
たとえば──
あなたの会社のメールアカウントが乗っ取られ、取引先にウイルス付きメールを送信してしまう。
クラウド共有フォルダにマルウェアが仕込まれ、取引先が感染する。
感染した社内PCが、攻撃者の中継サーバーとして使われる。
つまり、「被害者」であるはずのあなたの会社が、結果的に“加害者”になるリスクもあるのです。そして一度信用を失えば、再び取引を取り戻すのは容易ではありません。
経営者が今すぐできる3つの見直し
「専門知識がないから難しい」と思うかもしれませんが、実は、今日からでもできる基本的な対策で大部分のリスクは防げます。
1. パスワードを見直す
「同じパスワードを複数サービスで使い回さない」「定期的に変更する」「二段階認証を使う」たったこれだけで、外部からの侵入リスクが大幅に減ります。
2. ファイル共有の権限を整理する
GoogleドライブやOneDriveなどの共有設定を見直し、「退職者がアクセスできるまま」「“全員編集可”のまま」になっていないか確認しましょう。
3. 社員に“怪しいメールは報告”を徹底する
攻撃の入口の多くはメールです。「おかしいと思ったら開かない・相談する」という文化を社内に根づかせるだけでも、被害を防ぐ効果があります。
この3つを実行するだけで、中小企業が直面する攻撃の6〜7割は防げると言われています。
“最初の一歩”が大きな防御になる
サイバー攻撃の世界では、「意識の低さ」が最大の弱点になります。完璧を目指す必要はありません。大切なのは、“自分の会社も狙われるかもしれない”という現実に気づくこと。
まずは、できるところから小さく始めましょう。今日パスワードを変更する。今週中に共有設定を見直す。それだけでも、あなたの会社のセキュリティレベルは確実に上がります。
セキュリティ対策はコストではなく、会社を守るための“信頼投資”です。そして、その第一歩を踏み出せるのは、経営者であるあなたです。
🧾 今すぐできる簡易チェックリスト
社員や取引先のアカウント共有をやめている
古いPC・OSを更新している
退職者のアクセス権を削除している
重要ファイルのバックアップを定期的に取っている
社員が“怪しいメールを報告”できる仕組みがある
これらを全部「はい」と言えたなら、すでに立派なセキュリティ経営です。ひとつでも「まだ」と思った項目があれば、今すぐ見直してみましょう。
💬 ご相談はこちらから
セキュリティ対策は、難しい設定や高額なシステムを導入しなくても、正しい順番で取り組めば確実に強化できます。
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