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PDFの黒塗りは本当に消えている?外部送信前の正しい墨消しと確認方法

7 時間前
読了時間: 9分

見積書や契約書、履歴書、補助金の申請資料などを外部へ送る際、相手に見せられない情報を黒く塗って隠すことがあります。

しかし、PDFの上から黒い四角形を重ねただけでは、元の文字が消えていない場合があります。


画面上では完全に隠れているように見えても、黒い部分を選択してコピーすると文字が読めたり、検索すると該当箇所が表示されたりすることがあるのです。


「今まで黒く塗って送っていたPDFは大丈夫だったのだろうか」と不安になるかもしれませんが、大切なのは、これから正しい処理と確認を行うことです。


この記事では、専門知識がない方でも実践できるPDFの墨消し方法と、外部送信前の確認ポイントを解説します。


PDFの「黒く見える」と「情報が消えている」は違う


PDFは、文章や画像など、複数の情報を重ねて表示できるファイルです。


たとえば、元の文字の上に黒い長方形を置くと、画面上では文字が見えなくなります。しかし、これは机の上にある書類へ黒い紙を載せているような状態です。


黒い紙の下には、元の文章が残っています。


特に注意したいのが、WordやPowerPointなどで文字の上に黒い図形を置き、そのままPDFとして保存する方法です。見た目は黒塗りでも、PDF内部に元の文字データが残る場合があります。


これは、文字を「削除」したのではなく、別の図形で「隠した」だけだからです。



こんな方法では情報が残る可能性がある


次のような処理だけでPDFを外部へ送るのは避けましょう。


  • 文字の上に黒い四角形を重ねる

  • 黒色のマーカーや蛍光ペンで塗る

  • 文字色を白にして見えなくする

  • PDFの表示範囲を切り取る

  • パスワードを設定しただけで安心する


PDFの切り取り機能は、ページの一部を表示しないようにしているだけの場合があります。非表示部分のデータまで削除されているとは限りません。


また、パスワードはファイルを開ける人を制限するためのものです。

パスワードを知っている相手から、黒塗り部分の元データを隠す機能ではありません。


「墨消し」は元の情報を削除する処理


機密情報を安全に隠すには、単に黒く塗るのではなく、PDF編集ソフトの「墨消し」「Redact」と呼ばれる機能を使います。


正しい墨消し機能では、指定した文字や画像をPDF内部から削除し、その場所へ黒い表示などを入れます。


Adobe Acrobat Pro の場合は、対象となる文字や画像を指定した後に「適用」し、必要に応じて非表示情報も削除して、新しいファイルとして保存します。

対象箇所を選択しただけでは処理が完了していない点に注意が必要です。



Mac の「プレビュー」にも「墨消し選択」が用意されています。

Apple の説明では、編集中は墨消し箇所を変更できますが、書類を閉じると恒久的な処理になるとされています。



ただし、使用できる機能や処理方法はソフトによって異なります。

「黒い図形を描けるか」ではなく、「元の情報を削除する墨消し機能があるか」を確認してください。


安全に墨消しする7つの手順


1.原本を別に保管する


墨消しを行う前に、元のPDFを変更せずに保管します。

作業中に必要な情報まで消してしまった場合に戻せるよう、必ずコピーしたファイルで作業しましょう。


ファイル名も、次のように区別しておくと安全です。


  • 社内保管用:見積書_原本.pdf

  • 外部送信用:見積書_〇〇社送付用.pdf


「最終版」「修正版」だけでは、どれを送ればよいか分からなくなるため、用途や送付先をファイル名に入れる方法がおすすめです。


2.削除する情報を先に洗い出す


氏名や住所だけでなく、次のような情報も確認します。


  • 電話番号、メールアドレス

  • 口座情報、クレジットカード情報

  • 見積金額、仕入価格、原価

  • 社員番号、顧客番号

  • 印影、署名

  • 社内向けのコメント

  • 他社名や別案件の情報


文書を眺めながら一つずつ探すと見落としやすいため、送付先と目的を確認してから「今回見せてよい情報」を整理すると判断しやすくなります。


3.専用の墨消し機能を使う


PDF編集ソフトの墨消し機能で、削除する文字や画像を指定します。

同じ氏名や番号が複数ページに登場する場合は、検索機能を使って該当箇所を確認します。


ただし、検索結果だけに頼ると、画像内の文字や表記の異なる情報を見落とす可能性があります。

検索と目視を組み合わせることが重要です。


4.墨消しを適用・確定する


ソフトによっては、対象箇所を指定した段階では、まだ元の情報が削除されていません。

画面上の「適用」「確定」などの操作を行い、処理を完了させます。

その後、原本とは別のファイル名で保存してください。


上書き保存すると、処理前の状態と比較できなくなるため、外部送信用の新しいファイルとして保存する方が安全です。


5.本文以外の情報も確認する


PDFには、画面上で見えている文章以外の情報が含まれることがあります。


  • コメントや注釈

  • 添付ファイル

  • 入力フォームの内容

  • 作成者名や会社名などのメタデータ

  • 非表示のレイヤー

  • 文書のプロパティ

  • スキャン画像に付加された文字認識データ


Adobeも、コメント、メタデータ、非表示レイヤーなど、画面上では見えにくい情報を削除する「サニタイズ」の必要性を案内しています。



重要な資料では、墨消しした部分だけでなく、ファイル全体に不要な情報が残っていないか確認しましょう。


6.完成したPDFを別の方法で検証する


墨消し後は、画面を眺めるだけで終わらせず、次の方法で確認します。


  • 隠した文字をPDF内で検索する

  • 黒塗り部分を選択できないか試す

  • 周辺部分をコピーしてメモ帳などへ貼り付ける

  • 別のPDF閲覧ソフトやブラウザーで開く

  • 文書のプロパティを確認する

  • コメントや添付ファイルの一覧を確認する


たとえば、氏名の「山田太郎」を墨消しした場合は、完成したPDFで「山田」「太郎」「yamada」など、関連する表記も検索します。


黒塗り部分を直接クリックできなくても、ページ全体をコピーすると元の文字が含まれる場合があります。


7.重要な資料は別の人にも確認してもらう


給与、口座情報、個人情報、契約金額などを含む資料は、作業者本人以外にも確認してもらうと安心です。

作業した本人は「消したつもり」で確認してしまうため、見落としに気づきにくいことがあります。


確認者には「問題がないか見てください」ではなく、次のように具体的に依頼しましょう。


  • 〇〇さんの氏名と住所が残っていないか

  • 原価と仕入先名が削除されているか

  • コメントや作成者情報が残っていないか

  • 検索やコピーで文字を取り出せないか



スキャンしたPDFにも注意が必要


紙の書類をスキャンしたPDFは、ページ全体が画像になっている場合があります。


画像の上から黒い図形を置いただけでは、元の画像が残っている可能性があります。

また、文字を検索できるようにOCR(文字認識)処理が行われている場合、見た目は画像でも、裏側に文字データが付いていることがあります。


そのため、スキャンしたPDFでも「画像を黒く塗ったから大丈夫」とは限りません。

墨消し後に該当する言葉を検索し、文字の選択やコピーも試してください。


専用ソフトがなければどうする?


墨消しのために、必ず有料ソフトを導入しなければならないわけではありません。

元になったWordやExcelファイルがある場合は、外部へ見せられない情報そのものを削除した「外部送信用文書」を作り、そこから新しくPDFを出力する方法もあります。


ただし、この場合も次の点を確認します。


  • 変更履歴やコメントが残っていないか

  • 非表示の行・列・シートが含まれていないか

  • ヘッダーやフッターに情報が残っていないか

  • ファイルのプロパティに不要な情報がないか

  • PDF出力後に検索・コピーできないか


定期的に機密情報を含むPDFを扱う会社では、社員ごとに異なる方法を使わせるより、利用するソフトと手順を統一した方が安全です。


AIによる自動検出だけに任せない


AIを使って、氏名や住所などの個人情報を自動検出する製品も登場しています。


大量の文書を処理する場合や、見落としを減らす補助としては有効ですが、「この取引先には見せられない金額」「社内だけで使っている案件名」など、会社や文書の目的によって変わる機密情報をすべて判断できるとは限りません。


AIが候補を見つけ、最後は人が送付先と目的に照らして確認する運用が現実的です。


社内ルールは長くしすぎない


PDFの外部送信ルールを整える場合、最初から分厚いマニュアルを作る必要はありません。

まずは、次の5項目を共通ルールにするだけでも事故防止につながります。


  1. 原本ではなくコピーで作業する

  2. 黒い図形ではなく墨消し機能を使う

  3. 適用・確定後に別名で保存する

  4. 検索・選択・コピーで確認する

  5. 重要書類は別の人も確認する


あわせて、使用するソフト、確認担当者、事故に気づいた場合の報告先を決めておくと、担当者の判断だけに頼らない運用になります。


まとめ


PDFの墨消しで重要なのは、黒く見えるようにすることではありません。

元の情報を削除し、完成したファイルに情報が残っていないことを確認することです。


黒い図形を重ねただけのPDFは、検索やコピーによって元の文字を確認できる場合があります。コメントやメタデータ、添付ファイル、文字認識データなどにも注意が必要です。


PDFを外部へ送る前は、次の3点を確認しましょう。


  1. 専用の墨消し機能で元の情報を削除したか

  2. 適用・確定して別のファイルとして保存したか

  3. 検索・コピー・別ソフトでの表示を確認したか


「画面上では見えないから大丈夫」で終わらせず、送信するファイルそのものを検証する習慣が、情報漏えいの防止につながります。


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