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睡眠不足を美談にしない。業務効率とセキュリティを守る会社の働き方

  • 2 時間前
  • 読了時間: 10分

「昨日も、ほとんど寝ていない」

「深夜まで仕事をしていた」

「忙しくて睡眠時間が取れない」


こうした言葉を聞くと、つい「大変ですね」「頑張っていますね」と受け止めてしまいます。

もちろん、繁忙期や緊急対応で、一時的に業務時間が長くなることはあります。


しかし、睡眠不足の状態で働き続けることが常態化しているなら、それは個人の頑張りではなく、会社として見直すべきサインです。


特に中小企業では、限られた人数で業務を回しているため、経営者、管理職、経理担当者、IT担当者、顧客対応担当者など、一部の人に負荷が集中しやすくなります。


その結果、長時間労働や睡眠不足が当たり前になってしまうことがあります。

しかし、睡眠不足は業務効率を下げるだけではありません。


判断力や注意力が落ちることで、メールの確認ミス、誤送信、不審なURLのクリック、パスワード入力ミスなど、セキュリティ上のリスクも高めます。


会社を守るためには、ウイルス対策ソフトや多要素認証だけでなく、従業員が十分に休める働き方も必要です。


睡眠不足は「頑張り」ではなく、判断力を下げる要因


睡眠不足は、注意力や判断力を下げ、確認ミスを起こしやすくします。

睡眠不足の怖さは、本人が「まだ大丈夫」と思ってしまいやすい点にあります。


少し眠い。

集中しづらい。

確認作業が面倒に感じる。

判断を急ぎたくなる。


こうした状態でも、本人は普段通りに仕事をしているつもりかもしれません。

しかし、睡眠不足は注意力や判断力に影響します。


米国睡眠医学会とSleep Research Societyは、成人が健康を維持するためには、定期的に7時間以上の睡眠を取ることを推奨しています。6時間以下の睡眠は、成人の健康と安全を維持するには不十分とされています。


また、睡眠制限に関するメタ分析では、睡眠不足が認知処理、実行機能、持続的注意、長期記憶に悪影響を与えることが示されています。


つまり、睡眠不足の状態で重要な判断や確認作業を続けることは、単に「少し眠い」だけの問題ではありません。


仕事の質、そのものが落ちる可能性があります。


フィッシングメールは、疲れている時ほど危ない


セキュリティ事故の多くは、特別な技術的攻撃だけで起きるわけではありません。

日常業務の中にある、ちょっとした判断ミスから始まることがあります。


たとえば、次のような場面です。


  • 急ぎのメールに見えて、添付ファイルを開いてしまう

  • 請求書や配送通知に見えて、URLをクリックしてしまう

  • クラウドサービスのログイン画面に見えて、IDとパスワードを入力してしまう

  • 宛先を十分に確認せず、別の相手にファイルを送ってしまう

  • 不審な挙動に気づいても、報告を後回しにしてしまう


こうしたミスは、本人の知識不足だけで起きるとは限りません。


疲れている。

時間に追われている。

早く終わらせたい。

確認する余裕がない。


このような状態では、普段なら気づける違和感を見落としやすくなります。


長時間労働や睡眠不足が続くと、集中力や作業能力が落ちやすくなります。

その結果、同じタスクをこなすにも時間がかかり、さらに残業が増えるという悪循環に入ります。


また、睡眠不足が起きやすい部署や担当者は、確認漏れ、誤送信、不審メールの見落としなど、ヒューマンエラーのリスクも高い状態にあると考えられます。


セキュリティ対策というと、どうしても「社員に注意喚起をする」「研修を受けてもらう」という話になりがちです。


もちろん、教育は必要です。


しかし、疲れ切った状態の社員に「もっと注意してください」と言うだけでは、対策として不十分です。

問題は知識不足だけでなく、注意力を保てない働き方そのものにもあります。


注意できる状態で働けるようにすることも、会社のセキュリティ対策です。


睡眠不足を美談にする文化が、会社のリスクになる


睡眠不足を美談にする文化は、業務効率だけでなくセキュリティ上のリスクにもつながります。

だいぶ少なくなってきたとはいえ、長時間労働を「頑張っている」と評価する文化は、まだ一部に残っています。


「寝ずに対応してくれた」

「夜遅くまで残ってくれた」

「休日も仕事をしてくれた」


こうした姿勢を、責任感や熱意として評価したくなる場面もあるかもしれません。

しかし、本当に評価すべきなのは、長く働いていることではありません。


限られた時間で成果を出せること。

必要な判断を、正しい状態で行えること。

ミスや事故を起こしにくい働き方を、組織として設計できていること。


こちらの方が、会社にとってはるかに重要です。


睡眠不足の人が重要な業務を抱え続けている状態は、本人の努力ではなく、会社にとってのリスクです。


特に、経営者や管理職、IT管理者、経理担当者のように、判断ミスの影響が大きい立場の人ほど、十分な睡眠と休息が必要です。


責任ある立場だからこそ、無理をして長く働くのではなく、正しく判断できる状態を保つ必要があります。


重要な立場の人ほど、休息が必要ではないか


最近、日本の総理大臣が、就任後の睡眠時間について「0〜3時間」が通常になっていると述べたことが、海外メディアでも報じられました。報道では、首相本人の働き方だけでなく、日本の長時間労働文化や、ワークライフバランスの問題としても取り上げられています。


この件については、政治的な立場によって、さまざまな受け止め方があると思います。

ただ、ここで考えたいのは、個人への賛否ではありません。


重要な判断をする立場の人ほど、睡眠不足の状態で働き続けてよいのか、という問題です。


国のトップに限らず、会社の経営者や管理職も同じです。

重要な判断をする人ほど、長時間働くことよりも、正しく判断できる状態を保つことが求められます。


もし、十分な睡眠を取れないほど業務が集中しているなら、それは本人の努力不足ではありません。

役割分担、意思決定プロセス、情報共有、業務量の設計に問題がある可能性があります。


「忙しい人ほど寝ていない」のではなく、

「重要な人ほど眠れる仕組みを作る」


この考え方に切り替える必要があります。


残業時間の管理だけでは足りない


長時間労働を減らすために、残業時間を管理することは重要です。

しかし、残業時間の合計だけを見ていても、実際に十分な休息が取れているかは分かりません。


たとえば、月の残業時間はそこまで多くなくても、次のような働き方であれば負担は大きくなります。


  • 深夜まで働き、翌朝すぐに出勤している

  • 夜間や休日に頻繁に連絡が入る

  • トラブル対応で睡眠が分断される

  • 繁忙期に短期間で業務が集中する

  • 管理職や担当者だけが常に例外対応している


このような状態では、帳簿上の残業時間だけでは見えない疲労が蓄積します。


だからこそ、残業時間だけでなく、勤務と勤務の間にどれだけ休息時間を確保できているかを見る必要があります。


勤務間インターバルで「休める仕組み」を作る


勤務間インターバル制度とは、終業時刻から次の始業時刻までの間に一定時間以上の休息時間を設け、従業員の生活時間や睡眠時間を確保する仕組みです。


厚生労働省も、勤務間インターバル制度を、労働者の生活時間や睡眠時間を確保し、健康な生活を送るために重要な制度としています。

また、2019年4月から、勤務間インターバル制度の導入は事業主の努力義務となっています。


中小企業では、最初から厳密な制度として導入するのは、難しいかもしれません。

それでも、考え方として取り入れることはできます。

たとえば、次のような運用です。


  • 深夜対応をした翌日は始業時間を遅らせる

  • 一定時刻以降の業務連絡を原則禁止する

  • 夜間対応の担当者を固定せず、交代制にする

  • 休日対応が発生した場合は代休を必ず取る

  • 管理職や一部担当者だけに業務が集中していないか確認する


重要なのは、「休めるかどうか」を本人任せにしないことです。


責任感の強い人ほど、自分から休むとは言い出しにくいものです。

だからこそ、会社側が仕組みとして休息を確保する必要があります。


休める仕組みを整えることも、業務効率とセキュリティを守る対策の一つです。

中小企業がまず見直したい3つのこと


1. 残業時間だけでなく、終業から始業までの時間を見る


まずは、残業時間の合計だけでなく、終業時刻と翌日の始業時刻を確認します。


深夜まで働いた翌日に、いつも通り朝から勤務していないか。

トラブル対応の翌日に、十分な休息時間が取れているか。

管理職や特定の担当者だけが、常に短いインターバルで働いていないか。


ここを見るだけでも、会社のリスクが見えやすくなります。


2. 重要業務を一人に集中させない


セキュリティ、経理、顧客対応、システム管理などの重要業務が一人に集中していると、その人が休めなくなります。

そして、その人が疲れた状態で判断を続けることになります。


これは、業務継続の面でも、セキュリティの面でも危険です。

最低限、次のような対策を考えたいところです。


  • 重要な手順を文書化する

  • 代わりに確認できる人を決めておく

  • 問い合わせや障害対応の窓口を、一人に固定しない

  • 管理者アカウントを個人任せにしない

  • 外部IT担当者や専門家に相談できる体制を用意する


「その人しか分からない」は、便利なようで危険な状態です。


3. 疲れている時にミスしやすい業務を洗い出す


すべての業務が、同じリスクを持つわけではありません。

疲れている時に特に危ないのは、確認や判断を伴う業務です。

たとえば、次のような業務です。


  • 請求書や振込先の確認

  • メールの添付ファイルやURLの確認

  • 顧客情報や個人情報の取り扱い

  • 管理者権限での設定変更

  • アカウントの作成や削除

  • セキュリティ警告への対応


こうした業務は、深夜や疲労時に一人で判断させない方が安全です。


可能であれば、ダブルチェック、翌営業日の確認、緊急時の判断基準、相談先の明確化などを整えておきましょう。


「休むこと」は、業務効率を上げる投資でもある


睡眠や休息の話をすると、「理想論ではないか」と感じる方もいるかもしれません。

しかし、睡眠不足で集中力が落ちると、同じ仕事により多くの時間がかかります。


確認漏れが起きれば、手戻りも増えます。

誤送信や設定ミスが起きれば、対応にさらに時間を取られます。

不審メールを踏んでしまえば、調査、パスワード変更、取引先への連絡、再発防止策の検討など、本来の業務以上の負担が発生します。


つまり、休息を削って働くことは、短期的には仕事が進んでいるように見えても、長期的には効率を下げる可能性があります。


CDC/NIOSH(米国国立労働安全衛生研究所)も、仕事に関連する疲労は、労働者の安全と健康に影響し、長時間労働やシフト勤務は健康・安全リスクと関連すると説明しています。


「休むこと」は、さぼることではありません。

仕事の質を保ち、ミスを減らし、会社を守るための投資です。


よく眠れる会社は、業務にもセキュリティにも強い


睡眠不足を美談にする文化は、そろそろ見直すべきです。

長時間働いている人を「頑張っている」と評価していると、会社のリスクを見落とします。


本当に大切なのは、社員が無理をしなくても仕事が回る仕組みを作ることです。


疲れ切った状態で、急ぎのメールを処理する。

睡眠不足のまま、重要な判断を続ける。

一人の担当者だけが、夜間や休日も対応し続ける。


こうした状態は、業務効率を下げるだけでなく、セキュリティ事故のリスクも高めます。

そして、中小企業のセキュリティ対策は、ツールの導入だけではありません。


残業時間を管理すること。

勤務間インターバルを意識すること。

重要業務を一人に集中させないこと。

疲れている時にミスしやすい業務を、仕組みで守ること。


これらも、会社を守るための大切な対策です。

よく眠れる会社は、業務効率にも、セキュリティにも強くなります。


ITワークラボにご相談ください


ITワークラボでは、八王子・多摩エリアの中小企業向けに、IT管理やセキュリティ対策の支援を行っています。


単にツールを導入するだけでなく、現場で無理なく続けられるルール作り、業務フローの見直し、セキュリティ事故につながりやすい業務の整理までサポートします。


「IT担当者が一人に集中している」

「夜間や休日の対応が属人的になっている」

「社員への注意喚起だけでは不安がある」

「セキュリティ対策を、働き方や業務効率と合わせて見直したい」


このような場合は、お気軽にご相談ください。

初回相談は無料です。




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